なぜドラえもんが世界に受け入れられるのか

私は全く漫画やアニメに興味のない子どもだったのですが、ドラえもんだけはよく見ていました。

 

ドラえもんは世界各国で大ヒットしていて、インド人でもドラえもんのことはみんな知っていますし、街の至る所でドラえもんのぬいぐるみは見かけます。

 

ドラえもんの主人公「のび太」はどうしようもない人で、自分の力で問題を解決しようとする姿勢が全くありません。

 

この姿勢が批判されることもあり、自分の力で問題解決することを良しとするアメリカではドラえもんはあまり受けが良くないと聞きます。しかしなぜドラえもんは世界中の多くの国で歓迎されているのでしょうか?

 

それは、世界中の子どもたちが「困ったとき駆けつけて助けてくれる存在」を必要としているからだと思います。「眠れない人のための心理学」という本に参考となることが書いてありました。

 

信頼できる人がいれば、「何とかなるさ」と言う安心感がある。

窮地に陥っても自分を慰めてくれる、傷ついても慰めてくれる、努力しすれば助けてくれる。

「自分にはそうした人がいる」と思っている人と、思っていない人では生きている安心感が違う。

(中略)

愛されて成長した人は、怖い場面に直面すれば、信頼できる人物を上手に捕まえ、助けを求める。

それは人を見抜く力である。

世の中で生きる最も大切な能力である「人を見抜く力」を身につけている。

(中略)

信頼できる人がいれば、「何とかなるさ」という安心感がある。

小さい頃なら自分を保護してくれる、そうした人がいると思うのと思わないのとでは、生きている安心感がちがう。

(中略)

丸太小屋で安心していられる子と、お城で不安な緊張をしている子では、明らかに丸太小屋で生活している子の方が幸せである。

 

加藤諦三「眠れない人のための心理学」PHP研究所 P34)

  

のび太は何かができるからドラえもんに大切にされているわけではなく、何もできないしどうしようもないけれども、ただ存在するだけで大切にされています。

 

これがとても重要なことで、ドラえもんは知らないうちに「何もできなくても、大切にされて良い」というメッセージを視聴者に発しているのではないでしょうか。

 

「自分が何もできなくても助けてくれる人がいる」という安心感、自己肯定感があるからこそ新しいことにもどんどんチャレンジすることができますし、好きなことや得意なことを見つけることもできます。

 

ビジネスでは何でもかんでも自分でできる必要はなく、苦手なことはどんどん人に任せて自分の得意分野に特化していける人こそ成果を上げることができます。

 

そのためには、苦手なことについては「私はこれが苦手なので助けてください」と周りの人に言える必要があります。

 

自己肯定感が低いと、「これができないと自分の存在価値はないのではないか」と余計な力が入ってしまい、苦手分野を他の人へ依頼することができず、結果的に自分の得意分野へ集中することができず成果が上がりません。

 

さらに、人に依頼する場合にも、誰に依頼するか?がとても重要になります。人から大切にされる経験があると、ズルい人や自分を利用しようとする人に対し「この人は何だかおかしい、気持ち悪い」というセンサーが働きます。

 

しかし、人から大切にされていないと、口が上手い人に騙されてしまい、頼ってはいけない人を頼ってしまいます。

 

小さい頃に無条件で周囲の大人(特に親)から大切にされてきたかどうかが非常に重要なのですが、親から大切にされなかった人は諦めるしかないのでしょうか。

 

正直なところ、小さい頃に親からの愛情が不足していた人が幸せになるのはとても大変なことです。しかし、こればかりは受け入れるしかありません。

 

身体の不自由な人は、そうではない人に比べて社会生活を送る上で何かと障害が多く大変であるのは間違いないと思います。

 

一方で、生活に障害が多いからこそ見える世界、不自由のない人には分からないことが気づいたり、といったこともあると思います。それと同じで、精神的に苦しんだからこそ分かることというのもあると思います。

 

「こうすれば自己肯定感は上がります!」などという特効薬はないのですが、親に認められなくても、まずその事実を受け入れて距離をおいていく、自分に対して否定的なコメントをする知人との関係を切っていく、などから一歩ずつ進めていけば少しずつ自己肯定感が上がってくると思います。

 

ドラえもんは、自分がのび太になったつもりで無償の愛情を疑似体験できるのではないかと思います。