日本の国際競争力低下

中国の経済成長に伴って、日本の国際競争力の低下が叫ばれています。

 

日本は戦後の一時期アメリカに次いで世界第2位の経済力を誇っていましたが、2010年ごろに中国に追い越されました。

 

そして、インドに追い越されるのも時間の問題と言われています。

 

一方、中国は2032年ごろにアメリカを追い越し世界第1位の経済大国になると言われています。

 

21世紀後半には、中国とインドが世界の2大超大国となることはほぼ間違いがないようです。

 

日本人の感覚では、中国やインドは"BRICS"の一員として「21世紀に入ってから急成長してきた新興国」というイメージが強いのではないでしょうか。

 

しかし中国人の感覚では、日本の方こそ19世紀以降に急成長した「新興国」で、中国は何千年に渡って世界をリードしてきた老大国だという自負があります。

 

中国の歴史認識では、中国こそが歴史上ずっと世界最強の国家であって、ここ200年ほど欧米に負けているのが異常事態だという感覚です。

 

中国人は今の経済成長を「中華の復興」と呼び、習近平は中国が世界最強の国家として返り咲くことを「中国夢(チャイニーズドリーム)」と呼んでいます。

 

日本人の中には、歴史上一貫して欧米が世界の最先端だったと理解している方が少なくないように感じるのですが、実際のところどうなのか?ということで、参考になるのが下記資料です。

 

こちらは、(どうやって測定したのか知りませんが)歴史上の各時代のGDPです。

 

世界各地区历史上的国内生产总值列表 (购买力平价) - 维基百科,自由的百科全书

 

英語版もありますが、中国語版の方がよくまとまっているので中国語版をリンクに貼りました。

 

この1820年を見ると、興味深いデータが書かれています。

 

下記データは、1820年時点の世界経済に占める各国のGDP比率です。

 

1位:中国          32.9%  
2位:イギリス領インド※1  16.0% 
3位:フランス          5.5%
4位:ロシア           5.4%
5位:極東※2          5.3%
6位:イギリス          5.2%
7位:アフリカ                       4.5%

11位:日本               3.0%

※1:「英領インド」にはパキスタンバングラディッシュを含み、ゴアとポンディシェリを除く

※2:「極東」には中国、インド、ロシア、日本は含まない

 

1820年といえば、既にイギリスは産業革命が完成していた時期です。

 

それにも関わらず、1位は中国、2位はインドでした。

 

それ以前の数字を見ると、一貫して中国かインドが1位を占めていたことが分かります。

 

1913年のデータではアメリカが世界1位となり、中国、ドイツがそれに続きます。

 

中国とインドが世界の2トップとなる21世紀後半の世界は、新しい時代というよりは、産業革命が世界に広がる前の19世紀前半の時代に戻っていくイメージではないかと思います。

 

なぜそうなるかと言うと

 

経済力(生産力) = 労働力(人口) × 資本 × 技術力

 

で決まると考えられていますが、技術力がほぼ同じであれば人口が多い方が勝つからです。

 

20世紀はアメリカが圧倒的な技術力を誇っていたので世界最高の生産力を誇っていましたが、アジアの国の技術力が追いついてくると単純に人口が多い中国やインドの生産性が高くなります。

 

経済の生産性が高ければ軍事予算に割けるお金も多くなるため、軍事的にも強くなり大国となります。

 

日本は中国やインドと比べて人口が少ないにも関わらず技術力が高いために20世紀はアジアをリードしてきました。

 

日本がアジア最強であった時代のイメージが強いため、中国やインドが台頭して経済力で日本が追い越されると危機感を抱いてしまう人もいるのではないかと思います。

 

しかし、人口が多い国の方が強くなるのは当たり前のことで、人口が10倍の中国やインドに日本が勝とうと思ったら10倍の技術力がなければなりません。

 

100年前であればそれが可能であったとしても、中国やインドでも優秀な人材がどんどん育っている現代で日本がそこを目指してしまうことが、日本人にとって幸せかどうかは検討する余地があると思います。

 

これからの日本は20世紀のような影響力のある大国ではなくなっていくかも知れませんが、世界を見渡せばヨーロッパを中心に小国であっても1人あたりの生産性が高く福祉の充実した国もあります。

 

世界に影響力を行使する大国を目指していくのではなく、小国としてどうすれば国民が幸せになれるのかを考えていくことは悪いことではないと思います。

 

もちろん、小国と言っても中国や北朝鮮に軍事侵攻されてしまうような弱小国家では日本人の生活の安全が確保されないため、スイスのように自分の国は自分で守るという姿勢は必要かと思います。

 

しかし、大国としての責任を果たすために自衛隊が外国へ出かけていって国際協力活動をすることが、日本のこれからにとってプラスなのかどうかは検討の余地があると思います。

 

「国際協力は不要」というのではなく、大国としての責任とか、日本の国際的地位上昇のために無理をする活動を辞めて、日本ができることをすれば良いと思います。

 

国に限らず、企業でも個人でも、メンツを気にしていると苦しくなるばかりでやりたいことが何もできず、結果的に社会貢献もできません。

 

先日、商業捕鯨のために国際機関を脱退しましたが、全くこちらの聞く耳を持たずに数の論理で一方的に自分の主張を押しつけてくる人たちと距離を置くのは国際社会でも必要な姿勢ではないかと思います。

 

いわば日本は国際的地位(言い換えるとメンツ)よりも自国の国益(自分のやりたいこと)を選んだわけなので、良い選択だったのではないかと思いました。