中国に対する香港と台湾の態度

香港も台湾も、中国大陸の人々は「中国の不可分の一部」と強硬に主張していますが、香港や台湾には「中国(大陸)と一緒にされたくない」と主張している人が少なくありません。

以前、箱根で民宿を訪れたとき、中国人に対して中国語で接客をしている人がいました。そこで、その人に向かって「あなたは中国人ですか?(你是中国人吗?)」と聞いたところ、とても怒った顔をして「違います。私はワーキングホリデービザで働いている香港人です」と日本語で言われました。

中国人の客と中国語で接客をしていて、しかも私の中国語も聞き取れているにもかかわらず、日本ではできるだけ中国語で話したくないという強い意志を感じました。

香港の人は広東語圏なので標準中国語を話したくないということもあるのですが、そもそも「(ワーホリビザで日本に来れないような)中国人と一緒にされたくない」という気持ちがひしひしと伝わってきました。

中国語を話している人に対して「あなたは中国人ですか?」と聞くのはかなりリスクのあることのようです。台湾人や香港人の他にマレーシア人やシンガポール人も中国語を話しますし、海外に住んでいる華僑、華人もいます。

海外華僑だけで何千万人もいますが、彼らの中には中国共産党の迫害から逃れてきた人もいるため、中国語を話しているからと言って「中国人」とみなしてしまうと問題になります。

この件依頼、私は「あなたはどこの出身ですか?(你来自哪里?)」と聞くようにしています。

さて、台湾に関しても似たような経験があります。私の妻は中国出身なのですが、小さいころに日本で長く暮らしていたため、全く訛りのない日本語を話します。

妻と一緒に台湾を訪れたとき、私と妻が日本語で会話をしている間は、街の人やレストランの店員はとてもニコニコと親切に対応してくれました。

しかし妻が大陸訛りの中国語で(本来どちらかと言うと妻の話す中国語の方が正統な本場の中国語だと私は思っているのですが、そんなことを言うと台湾の人には怒られると思います)話した瞬間に態度が激変し、とてもぶっきらぼうな対応になりました。香港でも似たような経験があります。

このように、とにかく大陸は香港・台湾で嫌われています。しかし、香港・台湾を旅行して、中国に対する態度について少し温度差があるように感じました。

私が香港へ行ったのは2014年のことでしたが、当時の香港は本屋に中国共産党の悪口が書かれた本が山のように並べられていました。中には北京の天安門に向けて中指を立てている、大陸へ持っていったら即逮捕されるんじゃないかと思われるDVDまで販売していました。

今の香港は書店の店長が大陸へ拉致されたりと物騒なことが続き、昔ほど反共産党の本は並んでいないと思いますが、香港人の頭の中はそこまで変わらないのではないかと思います。

台湾については、香港よりも大陸に対する反発が強い印象を持っていました。台湾へ行ったら香港以上に反中国の本が並んでいるのだろう、そして中国(中華人民共和国)の国旗を掲げることは許されないのだろうと予想していました。

しかし実際には、台湾の本屋では香港ほどは反共産党の本は見かけませんでした。むしろ、驚くべきことに、街のあちこちで中国の国旗を見かけました。台湾の九份を訪れたときも、タピオカ屋の天井に掲げられた万国旗を見ると中国と台湾の国旗が並んでいました。

ここから感じたことは、台湾の人は「とにかく中国と台湾を別の国として扱ってくれたら、中国の国内が民主制でも独裁制でも何でもよい。別の国だから」という意識なのではないか?ということでした。

香港に中国の独裁制を批判した本が多数並んでいたのとは対照的です。実際に香港と台湾に住んだことがあるわけではないので、住むとまた違う印象なのかも知れませんが、短期の旅行ではそのような違いを感じました。