眠れない夜は寝なくて良い 〜不眠症の問題は眠れないことではない〜

私はかなり幼いころから不眠症入眠障害)の傾向があり、ちょっと刺激があるとすぐに眠れなくなりました。小学校の林間学校などでも午前3時まで眠れず、翌日倒れそうになりながらハイキングをした記憶があります。受験の前日もほぼ眠れず、センター試験も二次試験もほぼ徹夜で試験に臨みました。試験中は緊張しているので眠くならなかったのですが、センター試験の場合は必要な科目の受験が完了し消化試合の「政治経済」という科目になった瞬間に強烈な眠気に襲われ、試験中にウトウトしたのを覚えています(今は政治経済or倫理も必須科目のようですが)。

 

不眠症の中でも、寝る直前にコーヒーを飲んだとか、ゴキブリが出て発狂したなど不眠の原因がハッキリしている場合はまだマシです。一番の問題は原因不明かつ長期の不眠症です。不眠症対策というのはかなり幼いころからの課題で、中学校から「マイスリー」「ハルシオン」という最も弱い睡眠薬を服用して強制的に寝るようにしていました。また不眠症に関する様々な書籍を読んで、寝る前にホットミルクを飲むとか、軽くストレッチをするなどの対策をしていました。しかし焼け石に水で、そういった個別対策で簡単に寝られるような甘いものではありませんでした。

 

そんな中、不眠に対する価値観が180度変わる目からウロコの本に出会いました。その本とは加藤諦三「眠れない人のための心理学」です。結論から言うと、今までに読んだどの本よりも私の不眠には効果がありました。もちろん、全ての人に効果があるとは断言できませんが、不眠の改善例として私の事例をお伝えします。

 神様が私に「眠るな」と言っているのだから、眠らないで良いと思うことである(P41)

まず1番最初に書かれていたのが、「眠ること」に執着するのではなく、「なぜ眠れないのか」を考えることだと言います。

不眠症の背後にある心理的課題は何か?」という問いかけを自分にすることが必要なのである(P46)

眠れないことは「自分の今の生き方」が間違っているということを教えているのかも知れない(P53)

眠れぬ夜が「あなたはこの道を歩むべきではない」と知らせているかもしれない。眠れないということを「自分の人生の行く道を教えてくれている」という様に積極的に捉えた方が良い。(P54)

「この眠れないことは何を自分に知らせているのだろうか」と考えた方が良い。(P139)

睡眠薬などを使ってその夜に眠れるようになる」というのは一時的な対応ですが、根本的な改善にはなりません。根本的な改善策としては生き方を変えるしかありません。仕事に問題があるなら転職なり独立なりを検討しなければならないかも知れませんし、不眠の原因が家庭なら離婚を検討しなければならないかも知れません。

 

私は前職の会社に就職して半年くらいは不眠にならなかったのですが、「しばらくは海外出張や海外駐在の可能性がない」ということが分かってから突然不眠になりました。当時は年齢の割には給料も良く、利益も出ていて成長中の会社だったので、そこで数年間頑張って財務経理としてのキャリアを積んだ方が良いと考えていました。しかし不眠症が収まらず、妻からの後押しもあり、会社を退職してインドへ転職することにしました。インドへの転職を決断した後に不眠が改善し、夜も眠れるようになりました。

 

不眠に限らず、無理をしていると「その方向は間違ってるよ」と身体が何らかのサインを出してくるので、そのサインが出たら素直に従った方が良いと思います。このサインを無視して無理をしていると重い病気になったり倒れたりします。人によっては、不眠ではなく生理不順とか、肌に蕁麻疹ができるといった症状として現れるかも知れませんし、依存症という行為で現れるかも知れません。

 

私はインドへ来て不眠症が改善しましたが、インドがで十分な経験を積んで「これ以上インドにいても意味がない。インドから出たい」と思った途端に不眠症が再発するのではないかと予測しています。言い換えると、また不眠症になったら転職とインド出国を検討する時期だと思っています。

 

このように、「不眠症に悩む」のではなく「不眠症を利用して人生の方向性を決める」という考え方に変わったことにより、だいぶ楽になりました。もちろん、夜眠れないことは健康に悪いことではありますが、考えようによっては不眠になるのはラッキーかも知れません。無理をしているのに身体から何のサインも出なければ、人生を軌道修正する機会がありません。無理が積み重なって突然バタっと逝ってしまうかも知れません(全く何のサインも出ない人はいないはずで、何らかのサインは出ているはずですが)。

 

「身体のサインを聞けと言っても、仕事もあるし、身体の言うことばっかり聞いてたら社会生活ができない」という意見もあるかも知れません。もちろん短期的には、身体のサインを無視してでも無理をしなければならないこともあります。「不眠で徹夜したので翌日退職します」という訳にはいかないですからね。

 

しかし長期的には、不思議なことに身体のサインに従った方が何故か社会生活もうまくいきます。私の場合、日本の会社で無理をするのを辞めてインドへ来たら不眠が改善しましたが、生活そのものも経済的に豊かになっています。

 

従って、不眠になったからと言って無理に寝ることはありません。寝ようとしても眠れないので、なぜ眠れないを考える時間に充てます。もちろん不眠になった翌日は地獄ですが、人生を良くするための犠牲だと考える必要があります。翌日の会議で寝てしまうかも知れないですし、試験に集中できないかも知れないですし、デートに遅刻してしまうかも知れませんが、いずれにしても「自分には縁がなかったんだ。長期的には良い方向へ行くだろう」と信じるしかありません。

 

不眠症の人は)これからは非現実的なほど高い期待を持たないことである。

つまり健康で長生きしようなどと思わないことである。今、生きているということ自体が、賞賛に値する努力の賜なのである。(P50) 

 

加藤諦三「眠れない人のための心理学」という本に、考え方の切り替え方が詳しく説明されているので、不眠(またはその他のストレスによる症状)がある方にはご一読をお勧めします。

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